Possibility and Impossibility of Remote
会社のリモート方針が明確になってきた。おもったよりだいぶ柔軟で、たとえばリモートの選択肢を公式に用意してきた。リモートだけでなく、オフィス選択の柔軟さも増した。改めてどう身を振るべきかと考える。
給料。Bay Area を離れると下がる。下がる幅は行き先による。自分たちが良いなと思っていた街、すなわち Boston や Seattle は、下げ幅は一番小さい。とはいえ家賃が安くなって節約できる額よりはだいぶ下がる。というか減俸を CoL 低下で補填できるエリアはほとんどない。一方 Seattle とかは州税がないのでトータルの手取りはプラスになるであろう。街の良さと金銭的な都合良さのバランスが良いのは自分の選択肢の中だと Washington 方面 (Kirkland) である。
まあしかし、引っ越しとか全然やる気がおきない。引っ越の瞬間的な面倒くささに加え、新しい土地で街を知って、子の学校を選んで、新しい人間関係を築いて・・・とかさ。大変すぎ。Seattle とか客観的には Bay Area より住み良い可能性が高いが、それはゼロから比較した場合の話。自分たちはもう何年もかけて Bay Area に適応している。新しい街に適応しなおしてその良さを引き出せるまでに何年かかるやらわかりゃしない。
この大変さは子がいることで増幅され、許容範囲を越えている気がする。夫婦で大人だけならちょっと寂しいとか別にいいけど、子が遊び相手がいなくて荒れたり、学校に適応できなかったり、その影響で家の中が荒んだり、みたいのを心配しだすともう胃が痛くて思考停止してしまう。
世の中のリモートシフトを考えるとこれは残念な現状と言わざるを得ない。Bay Area の優位というのは職の多さだったわけだが、世の中の企業がリモートを受け入れるにつれ他の街でも職探しの幅が広がる見通しが出てきた。だから Bay Area にいる必要性は下がった。むしろ CoL が高い分不利。この傾向はおそらく新しい企業ほど顕著であろう。そんな時代に自分は Bay Area で根を下ろしてしまった。
まあ Bay Area なんだかんだで外国人には住み良いのも事実。いっそ Bay Area 近隣でリモートして海のそばなり森のそばに暮らすのはどうか、と考えるが・・・海(太平洋)のそばまでいくと給料が下がってしまうことがわかった。残念。森のそばは・・・どうかね。Los Gatos くらいなら高給圏内な気もするけれど、Los Gatos に住みたいかと言われると、どうかねえ。森だけでなく海も近くなるな。アリなのかもしれない。
でもねー。めんどさくさいわ・・・。また引っ越しとかいうとすごいカネもかかるし行き先探すのも大変だし・・・。ついでにいうと Mountain View だって別にそんなに悪いところではない。会社への近さが無駄っぽく感じるだけで。
引っ越しに感じるこの億劫さがどこから来ているかと考えると、三月に引っ越したばかりで疲弊・散財しているのが一番の理由に思える。自分だけではなく家族として消耗した。あの次点では引っ越さず、会社のポリシーが固まるまで待つべきだったのかもしれない。
一方、ポリシーは固まったが運用がどのくらいうまくいくのかは未知数。結局「リモートで働くのはキャリア的にいまいち」という結論になる可能性も割とある。職住近接を選んだ自分は事実上そっちの可能性に賭けている。
ただ今にして思うと、良い判断をしたとは言えないね。結果がどうなるかはともかく、自分は内心ではリモートに勝ってほしいと思っていたし、今も思っている。けれど会社の適応力を信じられずリモートの負けを見越し、そっちに身を振った。でもさ、自分が良いと信じていない方に肩入れするのって、腰が引けすぎで楽しくない。盛り上がらない。どっちが勝っても嬉しくない。
子の進学という何年もに一度しかないタイミングをのがしてしまうので、もうしばらく引っ越しはないだろう。臆病さの対価。まあ仕方なし。
それはさておき運用・現実はどうなるのだろうね。会社の発表を踏まえた個人的な予想としては:チーム次第。会社はリモートを(注釈付きとはいえ)認めている。会社のトップレベルの文化はオンサイト寄りのままかもしれないけれど、多国籍企業としてオフィス分散には馴染みがある。
一方で個々のチームのオンサイト志向には差がある。
比較的規模が小さく、地理的な局所性が高いチームはオンサイト志向が強い。自分の今いるチームはこれで、それは当初望んでいたことである一方、自分のリモート悲観の根拠となっている。
前いた電子書籍のチームは TL プラス一人が東海岸にいて、コードレビューとか仕事はリモートっぽい感じだった。そしてマネージャとほか数名が SoCal にいた。だから Bay Area は必ずしもメインではなかったし、チームも割とリモートっぽさがあった。その前のブラウザ部門なんてもっと世界中に分散していて、しかもオープンソースなので昔から家で普通に仕事ができた。こういうチームにいると、リモートへの移行はスムーズに行きそうな気がする。
つまり自分は勤務先がオンサイト志向である以上にチームがオンサイト志向で、そのせいで過剰にリモート化を悲観していた、ような気がする。
そして今のチームがオンサイト志向である事実を考えると、自分の職住近接がまずい判断だったとは必ずも言えない。場所を変えてリモートで働きたいなら、そういうチームに行かないとよろしくない。それがどのチームなのかは現段階ではわからない。リモート志向でない点を除けば今のチームはそれほど悪くないので、リモートを求めてチームを変えるのが良い判断とは、必ずしも言えない。
こういうところでバンと未来志向な博打を打つ身軽さがないのはダサい。でも保守的な家族持ちといたしましては心意気ある若者が未来を切り拓いて会社を良い方に引っ張ってくれるまで待たせていただきますわ。若者たちが会社に愛想つかさないと良いなあ。