最近聴いた本
Working Backwards: Insights, Stories, and Secrets from Inside Amazon
Amazon の初期の偉い人が The Amazon Way を逸話混じりで語る本。The Amazon Way も各種エピソードも面白かった。
Working Backwards という慎重さはソフトウェアだけでなく流通とか手戻りコストの高い部分がビジネスにあるからこそ有効だと思うが、一方ででかい会社はどこもなにかしらそういう部分があるので、会社がでかくなった時にきちんと機能する慎重さを持っているのは強い。ふつう慎重になると麻痺してしまいがち。あと single threaded leader とかも面白かった。片手間で仕事進まないとかあるあるすぎる。スライド禁止の話も、ほんと勤務先の連中に言ってやってくれと思う。ただ下々には six-paper の大げささが必要な場面はそんなにないだろうと思う。重要なビジネス意思決定のための決闘資料だな。Output でなく Input を見るというメトリクスの話はなんともすごい先進的で、はー・・・というかんじであった。そういう proxy で大丈夫と言えるのは、なんかあるよなあ。
こういうプロセスを敷けば Amazon じゃなくても成果が出せる、というわけだが、そこはんなわけねーというかんじ。一方で ex-Amazon の人というのはいっぱいいるはずで、そういう人が牛耳ってる会社だと似たような感じになる気もして、どうなのだろうね。Seattle の方にいけばそういう会社いっぱいあるのあろうか。Bay area だとそれこそ ex-G なり ex-F なりの会社はいっぱいあって、そういう人は程度の差はあれ元勤務先-way を持ち込むものだが。
それにしても Amazon ちゃんとしてんなーと思う。たとえば Google について書かれた本を読むと、こいつら楽しくやってんなと思うことこそあれこいつら儲かりそうだなという感じはない。従業員体験は重視してるが株主利益や顧客利益についてはあまり話がでてこない。そういうのがいいと思っていたこともあったが、すくなくとも現状を見る限りでは Amazon Way の方がだいぶ上手く行っている。
なぜなのだろうね・・・と考えるに、ゼロ年代というのはインターネット黄金時代で、掘れば掘るほどあたりが出た。だから熟考して手を打つより色々やってみる方が良い面があった。でもその黄金時代は 10 年前に終わってしまい、真面目に考えてやらないといけないという(普通の)世界になった。Google Way はゴールドラッシュに乗るのには向いていたが、そのあとは厳しかった。
あるいは DHH のいうように産油国だった、ということなのかもしれない・・・と書いたが、金を石油に置き換えればだいたい同じ話だな。関係ないけど DHH, Hey の宣伝もかねてぼちぼち blog 書いてるじゃん、ということで sub しておく。
Never Split the Difference: Negotiating As If Your Life Depended On It
引越しに際し大家とのメールでだいぶ消耗したので、そういうのに消耗しないようになりたいなと読む。Crucial Conversations みたいな話だが、FBI の身代金交渉人という著者のバックグランドにバイアスされたツイストとポップカルチャー的な雑さが新鮮だった。交渉テクニックの話以前にでてくるエピソードがぜんぶ凶悪犯との身代金交渉なのでめちゃ面白い。
読んだあと、自分が日々面している交渉相手は大家より我が子だなと気づいた。そして子供との会話は理不尽さとか感情的っぷりが身代金交渉に通じるものがある。心を落ち着けて挑みたいものでありますな・・・。
Insight: The Surprising Truth About How Others See Us, How We See Ourselves, and Why the Answers Matter More Than We Think
内省ってあんまし役に立たないよね、というような話。日記をながなが書くとか無意味な自己非難で鬱っぽくなってしまうよねとか。そういえば CBP とかそういう話だったな・・・と思い出す。そんではどうしればいいかというと、信頼できる相手に的を絞った問いを投げかけなさいね、という話をしている。自己啓発ジャーゴンでいうところの Personal Board Of Directors というやつに近い。(このジャーゴンどこ発祥なのだろうな・・・)
Caffeine
カフェインに関する雑談。Audible Original というやつで、Audible にしかない。割とどうでもいい内容だけど二時間くらいなので、長い podcast だと思えば悪くはなかった。
The Tyranny of Merit: What's Become of the Common Good?
実力主義がはびこってしまったせいで、世の中ずいぶん生きづらくなっちゃったよね、というような話。実力主義の高学歴者が回りにいる身としては、そうですね、と思う。アカデミアの哲学者だけあって・・・というか Sandel は名が知られてるだけあって書き手として優秀で、過去の哲学的解釈とかもレビューされており、よくかけてる。説得された。
The Enchanted Hour: The Miraculous Power of Reading Aloud in the Age of Distraction
読み聞かせの意義を説く本。巻末の子供の本リストは参考にして何冊か買った。