Office After This
Reopening Business みたいな議論が世間でも盛り上がっており、勤務先もうっすらとそういう気配がある。しかし social distance つきのオフィス、どれだけ意味があるのだろうね。
まずチームミーティング。できないよね。互いに 6ft 離すとか無理じゃん。上司との 1:1 くらいならでかい部屋でやればいいかもしれないが、1:1 なら別に VC でいい気がするし。出社が解禁される頃には small scale gathering も解禁されているのだろうか。それは・・・いいの?
個人のデスクの間を 6ft 離す・・・ことはできるかもしれない(というか、個人が移動しないという想定なら既にそのくらい隙間はある)。しかし人のデスクに立ち止まって一緒に画面を眺めて作業とかはできない。そして、たとえ 6ft 離れていても人がいっぱいいる室内に長時間 (八時間!) いるとか、微細飛沫防ぐ余地なし。イヤすぎる。
テラスやソファなどの休憩スペース。そういう shared surface は disinfect しないとさわれないわけだが、考え事でウロウロして腰を下ろす度にそのへん拭くわけ?そんなかったるいことするなら共有空間使うの諦めるわ・・・。
食事。6ft 離れた座席の cafe じゃ team lunch も成立せず、そうなるとタダメシを提供する動機/口実が失われる。そもそも空間が足りない。自席でサンドイッチを囓るのが合理的な選択肢になってしまう。つらい。せめて散歩しながら囓るか・・・。間食も、青果やドライフルーツは消えてパッケージされた乾き物くらいしか供されなくなりそう。
特別なハードウェアが必要な人はともかく、自分のようなプログラマに会社という空間の良さは:話す相手がいて、おやつやコーヒー片手にぶらぶら歩いて座って考える場所があって、腹が減ったらタダメシがあって・・・ということなわけじゃん。早い計算機とか広い机とかってのは、家でも(ある程度は)揃えられるわけだから。
けれどワクチンがない世界の socially distant な会社空間にそうした良さがあるとは全く思えない。多少制限があっても WFH の方がマシ。
とか思っていたら, Amazon は早々と 10 月まで WFH 期間の延長を決めたらしい。自分の勤務先も見習ってほしいもんだわ。6 月とかさ。無理でしょ。
一方で WFH の受容は中長期的に福利厚生の削減に繋がるとも自分は思っていて、そこに悲しさはある。
勤務先の手厚い福利厚生の多くは、人々がオフィスで働くことを前提にしている。人々がオフィスに来ないなら、オフィスの厚生を薄くすること自体は理にかなっている。一方で、そこでの削減が自宅ワーカーに還元されるとはどうにも思えない。
オフィス厚生の過剰さは多くが景気のよい成長期の名残であり、良く言えば文化の一部である。WFH に同じような厚生が実現されるためには WFH が文化の一部になる必要があり、しかもその文化が形成されるにあたっては背後に景気の良さがないといけない。これはどちらもむずかしい。WFH 文化は、よほどうまくやらない限り現行の強いオフィス文化と競合する。そして、ただでさえ成長が鈍化しているところに疫病の不景気。気前の良さも期待できない。
従って WFH が文化に根付く期待は薄く、そんな WFH にやってくるのはお仕着せのみみっちい厚生がせいぜいだろう。結局のところ自分の勤務先は pro-office, counter-wfh なのだよな。アメとムチでいうとアメ側がメインなので counter side が強調されることは少ないが。
そうなると勤務先にとっての望ましい展開はあくまでオフィスワークの復帰であって、WFH はそれまでの繋ぎにとどまるのだろう。一方で social distancing の必要性は、一部では一年以上の長期化が見込まれている。そうなったとき何が起こるのだろうか。借りぐらしの WFH が長期化するのか、それとも socially distanced office が定着するのか。後者が期待されている気がするが、先に書いたように自分はその妥当性を信じられていない。一方で借りぐらし WFH を続けるのもあまりうれしくない。
理想的にはリーダーシップが長期的な WFH first に舵を切り勤務先がリモート中心の会社になることだが、完全にファンタジー。
若くて身軽だったら勢いにまかせてリモート中心の会社に転職しそうなところだけれど、そういう元気もない。この悲観的な見通しが実現せず気がつくとなんとなくいい感じになっていることを祈りつつ耐え忍ばせていただきます。Sigh.
追記
勤務先も年末までは WFH ということになったらしい: When Will Companies Let Workers Back Into the Office - The New York Times その他のアナウンスメントを読んだ感じでは、安全性をうやむやにしつつ職場復帰というパターンはなさそうな雰囲気。