Book: Women's Work

Women's Work: A Reckoning with Work and Home

The Decade of the Parenting Manual - NYT Parenting で紹介されていたので読んでみた。ここにある本は半分くらい読んでおり我ながらサヨリべすぎて苦笑。そしてマニュアルではなく読み物ばかりだな、このリスト。

この "Women's Work" も例にもれず子育てガイドではなく読み物だった。著者自身の Memoir. もともと新聞記者の海外特派員だった著者が中国(北京)で妊娠し(配偶者もジャーナリストとして一緒に中国にいた)、新聞社の仕事をやめて子育てしながら本を書いてライターとしてのキャリアを続けようとする。しかし非協力的な夫を通じてジェンダー格差の現実に面し仕事が進まず、仕方なく nanny を雇ってみたら今度は中国の貧困やジェンダー格差に加担している自分に気づき思い悩む、という話。途中で第二子が生まれ、そのタイミングで夫の仕事の都合にあわせインド(New Delhi)に引っ越す。そこでまた nanny を雇い、同じ悩みを繰り返す。

ここで終わると傲慢なアメリカ人のうざい独り言なのだが、後半ではジャーナリストとして過去に自分が雇った(そのうち一人はクビにした)nanny に会いに行ってインタビューをする。そこは面白い。自分が employee として見ていた nanny たちのおかれた現実をジャーナリストとして revisit する著者の倫理的葛藤みたいのがよく書けている。

あと「うざい独り言」はやや言い過ぎで、自分も外国で子を育てている手前、そこにはある種の共感があった(インドに住むアメリカ人と比べるとカネの力で殴る経済力はないが)。そして自分はジェンダー格差の受益者なので、著者が夫にブチ切れるところでは胃が痛んだ。この手の本にでてくる夫は割とみんなひどい気がするのだが、自分がそうでないとなぜ言えよう・・・。

Amazon のレビューを見ると "White Privilege Horror Show" という批判がある。でも著者はそれに自覚的で、けれどその傲慢さを隠さない正直さみたいなのが面白いと思う。自分も読んでいる途中で著者のアメリカ人っぷりに笑ってしまう箇所がいくつもあった。書き手としての「声」がある点で「正しさ」に塗り固められた Lean In より個人的には好ましい。声といえば audiobook の narration はその鼻持ちなら無さを完璧にとらえており、最近きいた audiobook の中では最高峰の出来。


子供ができたら親である自分のキャリアは終わる。それは仕方ない。理由はどうであれ、多くの母親が仕事を辞め専業母親化する事実がそれを伝えている。そうしたコストの fair share を引き取ろうとしたら、定時強制の化石技能な万年末端になるくらいは妥当。理屈ではそうわかっていても、日々の impluse がしらずしらずのうちに privilege を claim してしまう。たまにこういう本を読み calibrate していきたい。