Indistractable
Growth 指向の product design 本 Hooked の著者が書いた、気を散らせずにやることやるための自己啓発本。
断線リテラシーを高めるために読んだ。基本的にはライフハック集。だいたい聞いたことがあるような話。著者は Cal Newport のような反テクノロジー業界原理主義者でないせいか、テクノロジーからの割り込みと戦う話だけでなくそのそのほか様々な割り込みや誘惑との戦いにもページを割いている。要するに The Willpower Instinct みたいな方向性も織り込まれている。
ライフハック集としては悪くないが、態度の煮えきらなさはある。全体としてテクノロジーは悪くないといいつつ、ゲームやアプリといったコンテンツは注意力を奪う専門家が作っているから気をつけろと言ってテクノロジーブロッキングのためのライフハックを紹介したり、子供がゲームやインターネットにハマるのはテクノロジのせいではなく親の問題といいつつ最終的には "feature phone からはじめるといいよ" といってみたり、ライフハック以外の文脈では TED 的 inspirational-but-not-actionable な「自分を信じろ」的議論をしてみたり、盛り上がらない。自分はなんだかんだで Cal Newport ファンだと思い知らされた。
一方でもともとテックで一山あてた人間が反テクノロジーの流行りに乗っていく軽薄さに鼻白む思いをしていた自分としては、2019 年の今日「いやテクノロジは悪くないですから。付き合い方の問題ですから」と言い張る著者にある種の誠実さを感じないでもない。
Self-Determination Theory という学派(本もある)の主張を引き、子供がスクリーンに引き寄せられてしまうのは basic psychological needs が満たされていないからと主張しているのは面白かった。この本は冷やかしてみたい気もする。