How It's Been Ending (1)

少し前に Podcast で Reality Engine の論文をよんだとき、この時代の CPU クロックのあがりっぷりにビビった。いわゆる Moore's Law というやつ。Mooore's Law は半導体の集積度について言及しているのでそれをクロック数として解釈するのはポップカルチャー的ではある。ただ近似としてはあってる。

Podcast では Reality Engine の比較としてなんとなく PS1, PS2 を引き合いに出した。その延長としてゲーム機を例に考えてみる。

ゲーム機、だいたい 6-8 年に一回くらい新しい機種が出る(1983 にファミコン, 1990 にスーファミ,  1994 に PS1,  2000 に PS2, 2006 に PS3, 2013 に PS4. 2 つの系列を混ぜてる雑さは見逃されたし。) このサイクルに Moore's Law を当てはめると、だいたい世代が一つ上がるとクロック数がひと桁増えるかんじになる。6 年 = 4 Moore Cycle = 16 倍、みたいな計算。スーファミの CPU が 2MHz, PS1 が 33MHz, PS2 が 300MHz, PS4 が 3200GHz なので、この間のクロック数はじっさいひと桁づつ増えている。

このあと PS4 の CPU は 1.6GHz x 8 core となり、クロック数が下がってコアが増えた。CPU アーキテクチャが PPC から x86-64 にかわったので厳密にクロック数で比較はできないが、ひと桁は増えてないという雑なレベルでは間違っていないとおもう。そしてコア数がひと桁近く (8 倍) 増えている。

この数字から判断するに, Moore's Law は 2006 から 2013 の間に終わったと言える。議論の雑さにも関わらず、これは自分の肌感覚とも合っている。

自分は Moore's Law が最後にフルスピードだった 2000 年代前半に大学を卒業した。だから自分の中の色々な常識や期待は Moore's Law を織り込んでいる... とおもっていた。でも Post Moore な 2019 年にこうしてぼんやりプログラマをやっていて、クロック数が倍々で増えていく当時の身体感覚はすっかり失われていている。そういえば学生の頃はクロック増えまくってたわ。最近のラップトップとか全然速くなんねーな、と思いつつ受け入れてたわ。

こんな大きな変化が起きたのに何事もなく生き延びている自分と業界にびっくりする。まあ何事もないわけでなく、大きな変化は起きたのだろうけれども。でもあんまりそういう体感ないじゃん?あたしの感性にぶすぎ?

いい機会なので、何が起きたのかを自分の中で整理してみたい。関心は大きく分けて2つある。ひとつ目はハードウェアの中の Moore's Law がどう終わったのか。ふたつ目は、プログラマというかソフトウェア開発はその事実をどう消化したのか、あるいは消化できていないのか。

この2つを言語化する気力があるかわからないので、とりあえずは「法則の時代がおわってたことにも法則が成り立っていたことにも同じくらいびっくりした」という事実だけを記録しておく。

追記

がんばってかいた: