Backyard Grilling の謎

近所の公園とかで家族 BBQ をしたい気がする。しかしいきなり公園に突撃しても火の付け方もわからないし失敗して飢えた子どもの不機嫌で休日を ruin するのもいやだから家の patio に小型の bbq 火鉢を買って実験できないかと考える。しかしこれもまた衝動的物欲のような気もするのでとりあえず BBQ 入門的なものを読んでみよう、とオンラインを冷やかしたのち Weber's New Real Grilling というレシピ本を買って眺めていると・・・よくわからなくなってきた。

この本は、一戸建居住者が自宅の裏庭に火鉢、というような生易しいものではなくこういうやつ、を置いてつくる BBQ 料理を主に想定している。そしてこれがアメリカ BBQ の基本っぽい。公園とかキャンプはこの延長にある特殊系という位置づけ。

しかしこうした grill は oven より便利なのか?便利か不便かはおいとくとしても(どうみても不便だから)grill でしかできない料理、grill の方がはっきりとおいしくできる料理というのはどのくらいあるのだろうか。先の本のレシピを見ていると、それ oven でよくね、というものばかり。

しかも、けっこうなレシピが焼いた後の加工(たとえば他の具材と和えるなど)や大きめの grill 固有のテクニック(たとえば indirect heat: 直火ではなく火種からズラして肉を置き遠火で焼く) に依存している。自分としては公園でもできるレシピを期待していたので、こういうやつらは役に立たない。

しかも世の中には charcoal の grill の他に gas の grill があるのだけれども、この本では大差ないから趣味の問題、毎日使いたいなら gas だしのんびりやりたいなら charcoal だよね、とか言ってる。毎日使わねーよ!そしてほんとに大差ないの?そしたらますます oven / gas stove でよくね?


Ovens にはできないが grills にできる芸当の一つに smoking がある。これはまあわかる。しかも公園の grill ではできないので自分用 grill を買う動機になる。自分も興味はゼロではないけれど、入門者がやることでもないように思える。

自分の期待していた grill 固有の利点である公園等の野外 bbq 可能な料理は自宅 grill 料理のうちごく単純なものだけを含む小さなサブセットであり、したがってアウトドア用途にレシピ本とかはほぼムダ、という可能性もある。まあムダというといいすぎだけれども、アウトドアに転用できるレシピは全体から見ると少ないのではないか。これは事実なら受け入れるけれども、盛り上がらないなあ。

家の火種が coil なため gas stove のないアメリカ人は割といるので、そういう人が gas stove の代替として grill を使っている面はある。そういう人には意味のあるレシピに思える。でもうちは gas stove あるのだよ!ふつうに Wok でチャーハンとか野菜炒めしてるよ!Wok on Grill のレシピなんていかにも charcoal の利点がなさそう。

自分的としては炭火で焼いたら旨いものというのが色々あると grill をがんばる動機になる。世の中にそういう食べ物はあるはず(サンマとか)だが、先のレシピは炭火とガスを区別してないので炭火の良さは伝わってこない。自分の目的に向けて気分を高めるには、アウトドア向け bbq レシピあるいは charcoal レシピみたいのを読まないといけないのかもしれない。


こういう苦情は空気を読まない nitpick であり grill や bbq は概ね文化的シンボルにすぎないのだから深く考えず勢いと雰囲気にまかせたほうがいいのだろうとは薄々思っている。土鍋で水炊きしてる日本人に「手鍋でいいですよね?」と水を差すみたいな話で。いや土鍋冷めにくいから好きですよ。使ってますよ。でも和食鍋料理をしてみたいアメリカ人がいたら別に手鍋で何も困らないよね、たぶん。

やはり細かいことを言わない方がどう考えても粋。でも脳が nitpick mode になってしまったので自分を説得できるまでもうちょっと調べてみたい所存。ひっこして来たばかりの頃に勢いでやってしまえばよかったのだろうけれど、当時は全然興味なかったのだった。