Book: The Case Against Sugar
The Case Against Sugar: Gary Taubes
The Obesity Code つながりで読んだというか聴いた。砂糖ってタバコみたいなもんですよね、依存性があって有害な精製物ですよね、成人病はじめ万病のもとですよね、科学的に調査できないくらい昔からあって文化に溶け込みすぎてるから断定できないけど間接証拠いっぱいありますよね、利害関係者は金の力で目くらまししてますよね、という話。かなりアグレッシブな主張だが、一方でヒステリックになりすぎず証拠集めをがんばっているので割と説得力ある。
砂糖業界が全力で責任逃避をしてきた歴史は面白い。まずは脂肪に責任をおしつけ、つぎにカロリーすなわち食べすぎに責任を押し付け、人工甘味料に責任を押し付け・・・。特にカロリーに責任を押し付けたのはイノベーティブな責任転嫁だと思う。つまり砂糖は "empty calory", 他の栄養がないカロリーだけの代物, という言説を受け入れることでインシュリン耐性というより大きな害から視線をそらす。肉を切らせて骨を断つ。砂糖だしな。
砂糖業界の陰謀だけでなく歴史の偶然みたいのもある。第二次大戦後の食料政策で大量につくるようになってしまった corn の体のいい使いみちとして corn syrup が発明され、あらゆる食品につっこまれるようになってしまったのは、悪意よりは成行きに思える。そしてなにより砂糖が大量につくれるようになったのは産業革命のおかげ、テクノロジの力でもある。
レビューおよび著者インタビュー:
- What Not to Eat: ‘The Case Against Sugar’ - The New York Times
- The case for eliminating sugar. All of it. - Vox
- Review: ‘The Case Against Sugar,’ by Gary Taubes - The Atlantic
- The Case Against Sugar by Gary Taubes review – shocking and important | Books | The Guardian
個人的には(近似として)sugar は麻薬であるという事実を受け入れる気になった。自分の人生からは refined sugar および関連食品を駆逐していきたい。会社の free snack の恩恵が減る残念といえば残念だが、麻薬の力で労働者を酷使しているのだと思えば腑に落ちる。
勤務先の名誉のために言っておくと、最近は甘いものは棚に隠すなど目隠しをするようになった。しかし砂糖つきドライフルーツは可視状態になってるぞ!それもしまえ!というのは完全に entitled jerk による言いがかりだと理解しております。むしろブラック企業はもっと積極的に sugar を従業員につっこんでくといいのではないか。合法だし、あらゆるドラッグより安いし、簡単にテンションあがるし、医療コストは保険会社と社会に転嫁できるし、酷使ツールとしていいことだらけじゃん。
家族というか奥様を説得するのは難しいと感じる。あまり強く push しても家庭不和になりそうなので、自分の commitment を disclose してその理由を繰り返し伝えていくくらいであろう。あなたたちがアイス食べてても私は食べません。チョコレートもけっこうです。パンにジャムは塗りません。焼いてくれたマフィンもパスさせてください。そう決めたからです。という。こう書いてみると home bakery を断るところが一番ハードル高い。これが文化の力。
Sugar とインターネットの類似性も指摘せずにはおれない。依存性はありそうだが生活に組み込まれているので断定はできず、関連産業もその可能性をはぐらかしつづけている。なんらかの形で軟着陸してくれるといいのだけれど、答えが出るのはずっと先の話でしょう。