Book: Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

ドライブのお供に聴いた。話は面白かったが Theranos のやばさは想像の範囲を超えていた。Enron と戦えるのでは・・・。序盤からひどさに溢れているのでああひどい会社の話なのだ・・・と聴いているとひどさがどんどん加速していく底抜けの疾走感。ドライブしながら何度も「ええーひどいまじかーおーい」などと口走ってしまった。このひどさで $9B valuation, 社員 800 人まででかくなれるのか。恐怖。

Uber の Susan Fowler 事件以来おもっていたこととして、議決権の強い株と弱い株、ある株ない株というアイデアは目論見はわかるが結果としては良くなかったなと思う。もうだしちゃった株はともかく今後は規制されてもやむなしではないか。  WSJ に「そういう株は買わなければいい」という記事があったけれど、みんながやってしまったら選択肢ないからね。Uber は利益がなく上場もしてなかったから大口投資家による圧力が機能したけど、これでもし IPO 後かつ profitable だったら創業者セクハラ社長を追放できなかったかもしれないよ? 本人が議決権を握っているわけだから。Theranos の投資家もちゃんと議決できる株もってたら社長の気分で board をクビにしたりもできなかったかもしれないし。(これがまさに FB だという見方もある。あの人たちは fraud はしていないと思うので言いがかりな気もするが。)

もうひとつ、個人的には "Fake It Till You Make It" という態度はもう scam 枠でいいなと思う。

たとえば自分が fake してる会社に騙されて転職しちゃったりしたらキャリアが ruin されちゃうじゃん。なので雇われプログラマとして fake なやつらに甘い顔をしないのは大事なことに思える。できてないものをできてないと言った上で夢を語るのは構わないけれど。

だたアメリカは scammer と entrepreneur の境目がすごくぼんやりしているのでこの意見が主流になることはないだろう。


そして若い visionary が意図せず fake をしてしまうことはあるだろうなとも思う。大きな夢があって、現実と夢の距離を無邪気に何桁も読み違えている。無知と楽観の力で本人は簡単だと信じている。だから自信満々にビジョンを語れる。騙しているわけじゃない。自分もむかしそんな人を見たことがある。もしかしたら Elizabeth Holmes も最初は単なる無邪気な visionary だったのかもしれない。

まあでも専門家の意見を求めるかわりに専門でない投資家を選んで金を集めたというから、やはり scammer だったのだろうな。そういえば scammer-entrepreneur もあったことあるなむかし。サイコパス力が低かったせいか筒抜けだったが・・・。

自分が会社なりプロジェクトなりを評価する必要があるときは、ビジョンとかよりコードなり製品なり tangible な observation に基づいて判断を下したいものです。夢のない話で、われながらシリコンバレー向いてないなと思うものなり。