How I ...

検索会社にどうやって入社したか、みたいな話を東京の人たちがおおっぴらに書いている。黙っていても人が集まらないところに求人力の低下を感じてしまうが、まあ時の流れだよなと思う。

そして「みんな東大生とか京大生とかばっかりで励みにならない」みたいな感想を見かける。書き手の意図はともかく雇用者的には東大生とか京大生と戦える(バトルするという意味ではなく互角にやれる)人を採用したいだろうから by design だと思う一方、自分はもっと格下の私大(明治大学、しかも理系)卒なので励みにはなるかもしれない。大学院までいったけど、私大の内側の大学院なんてなんもなしでいけるからね。


東大生とか京大生ばっかりな事実には若干肩身の狭さはあったが、学閥みたいのが形成されるほどの歴史もないしオフィスの権力もないので実害はなかった。いっぱいいすぎて有り難みがないせいかもしれない。肩身の狭さという意味ではどちらかというと TopCoder やら ICFP のコンテストの話に参加できない方で肩身が狭かった記憶がある。これも年一回とかなのでどうということもないけれど。

そして今はもはや MIT とか Stanford とか IIT がゴロゴロしてる職場に転勤してしまったため東大とか京大とか相対的にどうでもよくなった。ごめんゴロゴロは言いすぎた。ぽつぽついるくらい。そして MIT も Stanford もほとんど空想上の存在なので肩身の狭さを感じようがない。ホグワーツみたいなもん。


十年前の自分は学歴および実績とは無関係に自分は良いプログラマだと信じていた一方、検索なんて機械学習とかバリバリ使う数学仕事で自分にはやることないでしょ PRML 買ってみたけど一ミリもわからなかったし・・・とか思っていたため、無視して次の世代の新興企業に行くからいいもんね、みたいな謎の sour grapes fantasy を心の片隅に抱えて生きていた。(次の世代の新興企業が軒並み機械学習で数学バリバリになるとは想像しなかったのだろうか。)

ヒマと虚栄心にまかせ書いていたブログのおかげでインターネットでは一定程度知名度があったので、そのつながりで refer してくれた人がいた。このときは転職の直後だったためもあり丁重にお断りした。

その二年後くらいに思いつきでもうちょっと古い別の外資系企業の日本支社の求人に応募したが、色々あって途中で辞退した。なんとなく決まりそうな雰囲気だったのを諸事情から断ることに決めてがっかりしていたところに同じ人から再び refer してもらい、しかも興味のあった WebKit の仕事だというので喜んで応募した。次の世代の新興企業はどうした、みたいな話はあるが、WebKit ならすくなくとも数学できなくてもだいじょうぶそうじゃん。(だいじょうぶだった。)

インタビューの準備は、リクルータに topcoder やっとけといわれたのでちょっとやった。実際の competition 参加は厳しそうだったので、かわりに過去問を 10 問か 20 問くらい解いた気がする。うわ苦手だな・・・とおもったが、なにしろ絶賛デスマ中で毎日帰りが遅かったためできることは限られていた。ダメならダメで仕方ないと思っていたし、試験勉強をがんばるメンタリティを持っていなかった。

待てど暮せど面接の日程の連絡が来ないので「そういえばカバーレターとかいうの付け忘れたし書類選考で落ちちゃった?そんなら教えて」と問い合わせたところ「もうちょっとかかる」みたいな返事がきて、そのあと面接してまた待たされて、なぜかもう一ラウンド面接して、また待って、ようやく連絡もらって入社、というかんじだった。(面接官の人選に不備があったため部分的にやり直しになったとあとで聞いた。)


しかし正直なところ入れるかどうかは情報としてあまり重要でない気がする。応募してみればわかることだから。(この話はだいぶ前に書いた。)応募するとなんだかんだで 1-3 ヶ月くらいは心の平安を犠牲にするわけだが、まあそのくらい。でもそれよりは、入社して後悔しないかの方が重要じゃん。

自分は WebKit の仕事はすごい入れ込んでいたが、仮にこれが検索なり地図なりの仕事だったらどうだったか。まったくわからない。どんな仕事か全然知らないから。今にしてみれば一回くらいやっとくんだったと思うけれど、時すでに遅し。それに全く専門性のない分野なので、やらせてもらえたかもわからないな。

東西ホグワーツ勢はさすがにエリートだけあって優秀なのでそういうのと一緒に働くのどうなの、という点については、一定程度まともにコードが書ければ何かは仕事があるので真面目に働いている限りクビになる的な心配はない。ただ自分の出世力は相対的には低いと思う。出世はしたほうがエラい(当たり前というか文字通りというか)的な空気はあるし、それまで零細 small pond で big fish をしていた自分がここでは雑魚キャラである事実に慣れるまでにはちょっと時間がかかった。

いまは逆に自分が雑魚キャラでない状態を想像するのが難しい。根拠のない自信を失ったのは大企業の対価かもしれないし、単に加齢かもしれない。あと真面目に働くのにもまあまあ大変さを感じる。エリート力不足と言わざるを得ない。