景気のいい日本の会社

キャリア近況 - 滞舎路日記 を見ていて、本題とは関係ないが昔から抱いていたほのかな疑問を思い出したので書いてみる: 日本の景気のいい IT の会社で働くの、どんなものなのだろう/だったのだろうね。

今この瞬間に景気のいい Mercari なり PFN なりがそこらへんの外資系より(少なくともいくつかの指標においては)良い、というのは、まあそうなのだろうと思うしいい話だ。実際そこらへんの外資系から流れていく人も多い。

それはさておいて、たとえば 5-10 年前の景気の良い IT 企業、たとえば Mixi であったり楽天であったり DeNA であったり、で働くのは、それこそいわゆる外資系と比べてどのくらいダメだったのだろうなあ。まあ給料は安かったろうけれども、それもさておくと。中の人達はまあまあ楽しそうにやってたじゃん?

というのは、外資系および米国で働きつつ日本の会社の悪口を言ってる人たち、だいたい凋落を続けるメーカー系大企業出身だったり、景気の悪いアカデミアだったり、そのほか運が悪くてランダムにひどい待遇の立場にいた人だったりするのだよね。自分も過去に働いた会社は景気のわるいところばかりで、すべて大規模リストラしたり解散したりしている。それらと比べたらそりゃ景気のいいアメリカの会社は色々良いに決まってるが、これは日米比較という意味でフェアな比較ではなかろう。Comparing Apples To Oranges すぎる。

本当のところはどうなのか・・・というマクロな比較には実のところそんなに興味がなくて、自分も若いうちに一回くらい何らかの景気のいい日本の会社で働いてみたかったなという話です。自分の過去の記録をみても転職に際しあまり景気を気にしている様子がない。気にしろ。

就業年数が少ないときの経験は自分の中の定規になる。景気のわるい受託の会社で失敗プロジェクトばかりという自分の経験はだいぶ自分の prospect を損ねたと感じている。プロジェクトの失敗は自分に責任があるケースも多いのでかつての勤務先を責める気は毛頭ないけれども、「プロジェクトは{成功する/儲かる}こともある」という暗黙の前提でいる人と「プロジェクトは{失敗する/金の無駄}」と心のどこかで思っているひととでは、成功への引力みたいのがだいぶ違う気がする。


ところで辛い経歴を持つ人の呪いの深さというのは本当にかわいそうなところがある。

東京にいたころ、昔の(景気の悪い元勤務先/運の悪かった仕事)と景気の良い今の勤務先を比べ、日本の将来を憂いる風の口ぶりでなにかと過去の職場の悪口を言う人が一定数いた。いやその化石のような電機メーカー公社みたいなやつ基準で日本に危機感もってないで FB なり Netflix なり Amazn なりと比べて勤務先に危機感もってくれよという気持ちになったのを思い出す。同じように、そうした凋落していく会社はほっといて景気の良い日本の会社に目を向ければそれほど悲観的になることもない(から黙って仕事してればよい)とも思ったが、実態を知らないため確信もなかった。

いずれにせよ彼らの憂国活動は精神衛生にもよくなさそうだし生産的でもない上に本人の reputation も損ねると悪いことづくめなのだけれど、何らかの obsession に囚われ口走ってしまう様子で気の毒。

自分も過去の職場と現職を比べため息の出る場面はよくあったけれど、単に自分の経験がへぼいだけなのが明らかだったため異種混合の呪いにかからず move on できたのはよかった。

なんてのは、いまとなっては心の底から昔の話。