Prosper

給料の話。なんか盛り上がっているのを見かけたので自分の視線を記録しておく。基本的には自分の勤務先における自分の雇用の話だけれど、角を立てないため一般的風に書く。

アメリカテック大企業の給料が高いのは、なにより景気がいいからだと思う。各社売上利益株価とか大変な感じじゃん。複数の景気のいい会社が競い合っているおかげで給料が釣り上がる。

この地の生活費が高いのはそうした住人の給料がたかいからで、逆ではない。実際テックでない企業や景気の良くない会社の給料はあがっておらず社会問題になっている。けれど景気のいいテック大企業に勤めている分には割と大丈夫。


給料のうち株(RSU)が占める割合は高い。自分だと 1/3 くらいだろうか。なので株価が上がると給料が増える。ここ五年で、FB の株価は 5 倍、AMZN は 4 倍くらいになってる。給料の 1/3 の部分がこんな勢いで増えてやってくるので、ますます給料が高くなる。自分の勤務先もそれなりに株価が上がっており恩恵を受けているけれど、この二社を前にすると霞んでしまうね。

RSU が給料に占める割合は年々増えている。昔はもうちょっと慎ましかった。自分のここ数年の給与アップは殆どが RSU によるもの。基本給は全然増えてない。出世してないから基本給がふえないのは当然で、むしろ RSU が増えているのがナゾ。近隣競合と給与競争した結果なのだろう。なぜ現金でなく RSU なのか。よく知らないけど、きっと会社の finance 的な都合なのでしょう。

というかんじで景気の良さは二つの形で給与を釣り上げている: 株の capital gain, 競合間での賃上げ合戦。そして根本にはそれを賄える売上がある。


景気がいいゆえの高給だから、景気が悪くなれば給料は減る。冬の時代に備えるべく基本給だけで暮らせるくらいにしておきたい。でも第一子の生まれた昨年はやや使いすぎ、この基準を満たせなかった。今年は引き締めて行かねばなあ。

ただこれはヒラで妻子ありかつ節約してない自分の話で、ヒラより偉かったり独身だったりすれば問題ない。でも自分は節約しないといけない。ボンクラの悲しさよ。

景気悪化で減俸どころかクビになり、そのあと安い基本給の仕事しかみつからなかったらどうするか。わらないけど、たぶん日本に撤収することになろう。東京なら物価が安い上に言葉が通じるし知り合いもいる。資産を食いつぶしつつこの地にしがみつくよりはマシでしょう。あまり来てほしい未来ではないけれど、それなりに likely だとも思っている。栄枯盛衰がこの地の常。

ここで「アメリカで頑張り続ける」と思えないあたり、我ながらコミットメントが低くて情けない。ただ同じ立場ならアメリカ人でも生活費の安い田舎に帰る人は多そう。

まあこの手の厳しい事態にならないよう、プログラマとして精進したいもんです。


若くて独身ならアメリカテック大企業勤めは金銭的にすごく優れた選択肢に思える。新卒で景気のいい会社に入り無駄遣いせず10年くらい働いて資産をつくったら、日本に帰れば物価ギャップのおかげで金の心配なしに暮らせる。5 年でもリスクのバッファに十分なくらいは貯まる。

これは自分を含む大半の人間には縁のない選択肢だけれど、東大生みたいなエリートなら普通に狙える。そういう人たちが NTT の研究所とかの代わりに Facebook などを目指すようになったら面白いのにな、と他人事ながら思う。

アメリカが気に入ってとどまる人も多いだろうけれど、愛国心その他の理由でしばらくして日本に戻る人もいよう。そういう出戻り/凱旋の人々が現地で稼いだ経験と資金をもとに面白いことをすれば刺激になるというもの。インドとか中国とかそんなかんじじゃん。

妻子のあるおっさんにとって(金銭的に)良い選択肢か。なんだかんだで景気がいい限り割と良いとは思う。ただボンクラだと失業の恐怖はまあまあストレス。そこは金銭外の動機、憧れとか勢いとか、で補っている。

ま、ボンクラでないのが一番いいのだろうけれど。


追記: 一年後に GAFA 転職の話題がえらく盛り上がって怯んだ。