Dumping Your Brain

一年以上前にゼロ秒思考という本を読んだ。

この本は、頭に浮かんだことはすぐ書き出せ、そして箇条書きで書けと主張している。

なんでもすぐ書き出せというのは「考えるために書く」に近いものがある。一旦書き出すことで脳の負荷が下がり、考えを前に進められる。

書き出すのは、考えないためでもある。テキスト形式で考え事の snapshot を取って認知的ノイズを捨て、心置きなく先にすすむ。基本的には GTD の人たちがタスクを書き出すのと一緒。ただし中身が TODO である必要はない。

書き出したことの多くは特にそれ以上追求されることなく流れ去っていく。それでよい。Google Photos の全自動 backup が保存やよりわけの悩みをなくしてくれるように、思いつきの書捨ては考え事取捨選択の悩みを減らす。写真と一緒で、頭をかすめるアイデアの大半はゴミだから。

書き出すのは悩まないためでもある。この本は、なぜか対人関係の悩み解決に重きをおいている。対人関係に限らず、悩み事やいら立ちを書き出すのは割と意味がある。多くの場合、思ったより大した悩みではないことに気づいたりするし、なんらかのパターン、バイアスを見出すこともある。自己カウンセリング。認知療法。日記セラピーみたいな。

などなど、色々書き出すのは良い。

箇条書きを勧めているのは、作文のコストを下げるため。文章を考える手間はそれなりにある。箇条書きはそのコストを限りなく下げてくれる。だから考え事をばばっとダンプできる。これは一理あると思う。

著者とちがい、自分はすべてのテキストが箇条書きでいいとは思っていない。説得力やストーリーが求められる文章はある。ただ、それがごく一部なのも事実。大半はたしかに箇条書きで足りる。

なのでババっと箇条書きを書き捨てられる環境を作るのは大事だと思う。ふつうは Evernote でいいだろうけど。

もう一つ、書いたテキストは編集せず新しく書き直すことを勧めている。これも説得された。短いテキストなら過去の残骸にバイアスされず書き直したほうが整理されるよね。

なお著者はこの他にも謎のこだわりを色々持っているが、そのへんは割とどうでもよかったし説得もされてない。あと続編的なのも書いてるけどそれはなぞのランダムライフハック詰め合わせ本で、読むだけ無駄だった。考えるために書く方法論をもっと追求してくれればよかったのに、残念。


考えるために書く、という前回の話の補足として書いてみたけど、あまり補足できてない気もする。

しいていうなら、こうしてダンプされたアイデアのうち興味深いものを書き直してブログにすると良いよ、とかかな。