2015/03/03: リテラシーとしてのスタートアップ

YC のボス Sam Altman 主催 “Startup School” のビデオが面白いと教わる。ビデオのほかに参考読み物のリストもある。Sam Altoman はよく HN にブログ記事がランクインしており、それを読むことはあった。 YC の偉いひとだったのか。

自分はスタートアップで働ける気はしないけれど、スタートアップの方法論はソフトウェア開発者の要履修項目になりつつあるのかもしれないと思う。昔のアジャイルみたいな位置付け。アジャイルからリーン一族が派生して、それが Paul Graham らの教義と合流したものがスタートアップ理論・・・くらいの根拠のないイメージ。出自はさておきスタートアップがらみの書籍は増えたし、それはソフトウェア開発方法論のコミュニティとそこそこ重なっているように見える。バブルを差し引いてもなにかは生まれてるんでないのかな。

ここになにかがあって、自分はそれをわかってないと感じた出来事: higepon は去年の多くを growth の仕事に費やしたという。その growth というのは startup school の一項目になっている。で、僕はそれが何なのかまったくわからない。想像もつかない。ほんとに。全然。Hive か何かで SQL たたいてグラフ睨んでるのかなーとイメージしているけれど、それが何のグラフなのかどうやって集めたデータなのか、微塵も思い浮かべられない。

そういうものは多分ほかにもあるのだろう。そしてスタートアップ以外の組織もその方法論を取り込んでいくのだろう。そもそも Twitter からして上場企業だし。とすると、スタートアップ理論というのは、新しい世代のソフトウェア開発手法に付けられたラベルなんじゃないか。だとしたら知らないとまずくない?そんな恐怖。

スタートアップの存在感も不安を後押ししている。勤務先、辞めた人の行く先は半分くらいがスタートアップに見える。まあ競合他社に行く人はわざわざ farewell メールにそんなこと書かないだろうけど。この感じは日本ではなかった。

大企業の会社員がスタートアップ理論をかじる必要はあるのか?それはウォーターフォールの開発者がアジャイルをかじる必要があるのか、という問いに似たところがある・・・もしスタートアップ理論が次世代のソフトウェア開発方法論なら。

アジャイルも半分は意味があり残り半分はゴミだった。割合はさておき、スタートアップ理論も同じだろう。当てずっぽうなメタファでいうとアジャイルのオンサイト顧客がスタートアップ理論におけるハカソン、グロースがリファクタリングなんだよ、とかそういうかんじ。対応はてきとうです。

僕は最近のオフィス引越しで Chrome じゃないチームが多いビルに移ったんだけれど、細々したチームがいくつもあるらしく会議室とかオフィスがめいめいに装飾されたりちらかったりしている。スクラムのカンバンみたいのもあるんだけど、見慣れない流儀のダッシュボードも多い。社内でも、聞きなれない、でも社内生まれでもなさそうな製品開発方面の用語を目にするようになった。なんとなくスタートアップ方面由来なんじゃないかという予感がある。エンジニアはさておき PM にはその手の話が好きな人が多いから、彼らが流行りを持ち込んでる気がする。

開発方法論に興味を失ってしばらく経つ、でも以前は興味があったことだし、その知識が役にたつこともあった。少なくとも自分に視座を与えてはくれた。スタートアップ理論も勉強したら案外面白いかもなあ、とおもったわけです。どうですかね。大企業勤めにゃかんけーねーですかね。

アジャイルに増して玉石混合度が高く、Amazon を見ても単なる WIRED 的読み物と教科書っぽいのが混ざって並んでいる。かじるにしても筋道を付けるのはちょっと面倒そう。とりあえずは飽きるまで startup school の参考記事を読むところからスタートかしら。