Attachment Parenting

Attachment Parenting という子育ての流派があるらしい。名前から想像すると「子供はちゃんと可愛がりましょうね」みたいな曖昧な主張を想像するけれど実際はもっと具体的。ざっくりいうと 1. 子供は一日中だっこひもでだっこしましょう (Babywearing) 2. 子供がぐずったらすかさず乳をやりましょう, 子供が自分で決めるまで卒乳はやめましょう. 3. 子供と一緒に寝ましょう (co-sleeping). 割と強い主張で、共働きだと全然無理. Attachment Parenting を提唱したのは Dr. Sears という人が 1992 に出した本. ウェブで育児情報を検索するとよく askdrsears.com というサイトがひっかかるのだけれど, Attachment Parenting のひとだったのか… Dr. Sears そのひとについては 2012 年の TIME の記事が詳しい。

Attachment Parenting に対しては非科学的だとか母親が理不尽に大変といった批判がある. ざっと読んだ範囲だと Attachment parenting: the best way to raise a child – or maternal masochism? という The Guardian の記事が自分の感覚に一番近かった. 一方で How the Attachment-Parenting Debate Ignores Women of Color という The Daily Beast の記事は, 欧米以外だと attachment parenting 風子育てが普通な国はいっぱいあるのに今更ラベルをつけて良いだの悪いだの人の子育てのやりかたに口を挟まれるとむかつく、やりたいようにやらせろ、と African American の著者が主張している。まあ日本も co-sleeping が普通だよな。住宅事情のせいな気もするけど。

Attachment Parenting は「非直感的な」近代 US 子育てに対する反発だという見方もある。たとえば Sleep Training は広く知られたプラクティスだけれど、その流派の中には Extinction/Cry-it-out といって一旦子供を crib におろしたら泣いても朝までほっとけと主張する人もいる。(自分は sleep training に興味があったので代表的な本を一冊読んだ.) NYT Upshot のある記事は sleep training はどの方法もそれなりに効果があり今のところ害はみられないとしている。一方で Attachment parenting の信奉者は Extinction 系 sleep training を強く攻撃している。Upshot の記事のコメント欄にもそういう人たちがいっぱい。子育てにありがちなもめる話題の一つだとわかる。

自分は sleep training はまあまあ信じているけれども、一方で Attachment Parenting は Formula feeding への反発でもあるというから厄介。アメリカ、一世代前までは母乳より粉ミルクのほうが良いと信じられていて、母乳が主流になったのは割と最近(といっても 10-20 年とか)のことらしいからね。そういう意味で Attachment parenting は無闇にクラシックなわけではない。更に厄介なのは Attachment Parenting を包含する Natural Parenting という派閥があり、この人たちは vaccination にも反対しているらしい。たびたび目にする最近ワクチン接種率が下がっててやばいという話、まさかこんなところで繋がるとは。他人の子育ての方針にとやかくいいたくはないけれど、これはちょっとなあ。なお件の Dr. Sears はちゃんと vaccination していた...遅らせろともいってるらしい

あまりこの辺の議論に engage して消耗したくないと思いつつ、怖いもの見たさでつい色々読んでしまうのだった。