今年読んだ/聞いた本

Learning Spark

知り合いが Hadoop をやっているのをみて羨ましくなり向こうが Hadoop ならこっちは Spark だ!と入門してみた。実際には大したことはせず, DataProc で遊んでみたくらい。まあ面白くはあった。DataProc は History Server にアクセスするのが面倒でいまいちという感想。真面目に使うとそのへんの workaround は確立できるんだろうけれど。

そのあと仕事で少しだけ Flume (Cloud DataFlow の前身) を触る機会があり、Spark 入門とあわせてちょっと big data な気分を味わえたのは良かった。

Programming in Scala (3ed)

Spark をやった勢いで Scala を復習。むかし初版を読んだときの印象よりは難しくない気がした。まわりの言語が難しくなってきたからかもしれない。Scala の型システムのうち Java にないもの (abstract type とか)が どうやって Java にマップされるのか調べなればと思ったのを今思い出した。そのあとちょっと趣味で小さいコードを書いたりしたが, Scala native で mature な HTTP クライアントがろくにない、という事実にやや呆れる。探し方が悪いのかもしれないが・・・。Spark で使うくらいが無難なのかなあ。

Hadoop Application Architectures

これも Spark の勢いで読んだ。憧れの Hadoop エコシステム、けっこういまいちな部分も多いね。自分でクラスタを運用するよりはなるべくクラウドに置いて EMR なり DataProc なりで必要なときだけ Spark などを動かす、という方が少なくとも余暇プログラマの範囲ではよさげ。(後日 AWS の発表会をみてその印象を強めた。)

どのみち自分が Hadoop システムのアーキテクチャについて真面目に考える日はこないだろうという事実は寂しい。

Building Microservices

教養に読んだ。まあいい話なのではないかなと思う。ただ Rails みたいに気の利いたフレームワークが出揃わないと個人ではやる機会がなさそうでもある。CNCF とかにがんばってほしいところだけれど、Foundation とかいってる時点でいまいち期待できない感もある。

Fluent Python

機会学習とかデータサイエンスをやるなら Big data 以前に手元で動く Python だと心を改め読んだ。良い本だった。(感想)

High Performance Python

Numpy 周辺の vectorized な世界に詳しくなろうかなと読んだ。まあまあだった。(感想)

Natural Language Processing with Python

機会学習とかやるなら隣接分野もわかった方がいいかと思い読んだけれど、 確率的アプローチになる前の古臭い自然言語処理の話が大半でがっかり。 ただそのあと読んだ From Frequency to Meaning: Vector Space Models of Semantics というサーベイを理解する役にはたった。このサーベイはよかった。

Learned Optimism

以下自己啓発っぽいやつら。 これは息抜きに読んだ。古い本だけれど予想外に面白かった。 感想はそのうち別に書きたい。

Deep Work

大雑把にいうと、ソーシャルメディアをやったりメールに返事してる暇があったら仕事しろ、という本。議論は雑だけれど、著者は書いている主張を実践した上で書いているのでまあまあ説得力はあった。自分のような脱ソーシャルメディアしたい勢といては励まされた。

最近にたような主張をする記事を NYTimes でみかけた・・・ら、この著者が書いていた。

The Life-Changing Magic of Tidying Up

Audible にて。これも息抜き。コンマリメソッドというやつね。なぜか流行ってるという話をNYTimes で読み興味を持って周辺事情をを色々調べたらあまりに面白かったため、敬意を払い原点も読もうと思った次第。Konmari method に全米が熱狂するこの現象ほんとに面白いのでなんとか伝えたい気もするけれど、一方で総体としてはかなりどうでもいい話なので割愛。どうでもいい副作用として洗濯物は Konmari Method でたたむようになりました。

Grit

Audible にて。これと下の Mindset とあわせて、自分は勉強とか根性というものに対する態度を改めた。詳しい感想はそのうち別枠で。

Mindset

Audible にて。ビルゲイツ推薦図書として流行っていたので読んだ。若干強引なところはあるが、核にある主張には説得された。

Predictive Analytics

Audible にて。機会学習サイコーっすよーという本。色々を事例を紹介していく。アルゴリズムの話もあるけれど、おまけ程度。ややクドくて食傷。むしろ The Signal and the Noise を読むべきだったかも。

The Master Switch

インターネット歴史読み物。昔読みかけて挫けていたのを思い出し Audible で出直し。 面白かった。一度は力を失った AT&T がジリジリと復活してくる様が不気味で読ませる。

Creativity Inc.

Audible にて。Pixar 社長の自伝。面白かった。Jobs の話はしないと前置きつつ前半 1/3 くらいは Jobs ストーリー番外編として普通に面白い。後半の Pixar の会社の話もよい。

個人的にはむかし論文を読んだ CG 研究者が経営者としてぶいぶい言わせてるという事実がなにより感慨深かった。Catmull-Clark subdivision surface の Catmull? まじで? 的な.

ゼロ秒思考

ここから日本語の本。知り合いが読んでいたのにつられて読んだ。色々つっこみどころも多いけれど正しい指摘もしていると思う。自分も少しメモの書き方が変わった。詳しい感想はそのうち別枠で書きたい。

速さは全てを解決する 『ゼロ秒思考』の仕事術

上の続編。前作でカバーされていない話題を扱っているかとおもいきや、著者のランダムライフハックを披露するしょうもない本となっていた。一冊目には可能性を感じただけにだいぶがっかりした。

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか

Mindset, Grit とかの並びにある話。子育ての話というより貧富の差など社会問題の本。面白かった。日本の貧困関係の読み物と照らしあわせて考えると示唆深い。


以上 18 冊。今年はジョギング中のタブレット読書と通勤や家事労働中の Audible を通年で使ったはじめての年。軽めの本を読む量を増やせたのは嬉しい。

一方で、ジョギングと Audible の枠では読めない歯ごたえのある本を一冊も通読していない事実は無視できない。手強い本を読めるようになりたいと 2-3 冊挑んだけれど、どれも読みきれなかった。悲しい。再挑戦したいけれど、手を打たないと同じ結果になりそう。

あとやはり英語の本はまだスループットが出ない。Audible も等倍か 1.1 倍くらいでしか聞けないし、ジョギング中の読書もオライリー本を一ヶ月一冊がせいぜい。たまにちょろい日本語の本を読むとすごい速度で進み驚く。英語圧のために 5-6 年やっているこの縛りプレイ、明らかに自分の読書量を削っている。一方で昔よりは速く読めてもいる。いつまで続けるべきかは悩ましいけれど、まあしばらくやります。技術書以外は日本語で良い気もするけれど、技術書以外はほとんど Audible なのだった。

そういえば本以外に読んだオンライン長文や論文なども読んだ記録を残したいと数年来思っているのだけれど、うまくいっていない。