Indie Tech Publishers

次に読む本を探すべく Amazon.com をうろうろしていたのだけれど、技術書は少し Amazon で探しにくくなった気がする。電子書籍重視な新興出版社の本は Amazon に無い・・・わけではないにせよ、O'Reilly とかと比べいまいちレビューが伸びない傾向を感じる。具体的には PragPub, Manning, No Starch Press あたり. Packt も新興のはずだけど、なぜか割とレビューついてるね。

自分は PragPub や Manning からよく本を買うのでややバイアスがあるかもしれないけれど、彼らの出版社の本を買うときってだいたい promotion mail 経由なのだよな。しかも Beta/MEAP として最終版ができる前に買う。こういう相対的に熱心な読者は、結果として Amazon では買わずレビューも残さないのだった。技術書の中でも要素技術解説系のやつはなるべく早く欲しい事が多いので、ちょっとアラがあろうが章が落ちてようが Beta / MEAP で買うのは割に合う。

これは新興出版社的には狙い通りのいい話だろうけれど、Amazon ユーザ的には嬉しくない。なぜかというと review や recommendation を頼りにくくなってしまうから。一方で要素技術解説系の本は著者と目次である程度は出来が予想できる上に新しいテクノロジの本は選択肢もさほど多くないから、review/recommendation への依存度はそれほど高くない。ニッチならではの現象と言える。

要素技術解説「でない」技術書はどうかというとやはり何らかの review は欲しくて Amazon.com は欠かせない。Blog の衰退に伴い Amazon 以外の場所でレビューを探すのはとても難しくなってしまったし。そのせいか要素技術解説以外も多く扱っている PragPub なんかはおもったほど脱 Amazon してない感じがする。自分は Amazon でレビューを読んで PragPub サイトで買ったりするんだけれど、まあ Amazon で買えばいいよね。ふつう。

一方で要素技術解説に特化した Manning の本だと、自分はもう Amazon 経由でなくていい。MEAP の本はそもそも Amazon にないし。微妙にニッチだったり新しかったりするテクノロジはどのみちレビューが乏しい上に Manning と O'Reilly しか選択肢がなかったりするので、著者略歴と目次を比べてえいっと買うしかない。

自分は O'Reilly 世代なので Manning の "In Action" シリーズは "Definitive Guide" とかに比べなんとなく格下に感じてしまうけれど、実際のところまったくそんなことがない。  Kotlin in Action にしろ Deep Learning with Python (これは In Action じゃないか) にしろ第一人者というか中の人が書いている。O'Reilly の Kotlin 資料はビデオしかない。出て来るのはいちおう第一人者だけれど・・・。そして Keras の本はない。

もう要素技術解説本を探すなら Manning の方がよくね? ... と言えるほど圧勝ではなくて、たとえば Rust の本は O'Reilly しかない。とはいえ以前の鉄板さは感じられない。しかも最近のオンライン書籍販売撤退に伴い, subscription なしに beta や PDF (数式!) が読めなくなってしまった。O'Reilly の Safari にも Manning の本があるけれど, MEAP はない。(そして Addition Wesley の "The Go Programming Language" なら InformIT から PDF/epub が買える! まさか O'Reilly より Addison Wesley の方がマシと思う日が来ようとは...)

と O'Reilly への愚痴はさておき, インディー出版社の登場にあわせここ十年くらいで技術書出版の勢力図は変わったなあと思うのだった。

An elephant in the room として最近はオンライン資料の品質が高いことも多いのでそもそも本いらなくね、という人も多そうではある。でもおっさんはあちこち読み歩くの疲れるから金払ってでもまっすぐオフラインで読みたいのだよ。